糖尿病について

糖尿病とは無症状で、本人が気がつき難い場合が多く、高血糖のまま長い間放置され、高血糖がひどくなるまで気がつかないでいることがあります。

 

自覚症状の乏しいのが早期の糖尿病の特徴で、このために糖尿病は「沈黙の病」ともいわれます。ですから自覚症状が出るまで待っていたのでは糖尿病が進行するまで待っているのと同じことです。

 

糖尿病の合併症を防ぐ意味からも、糖尿病を出来るだけ早く見つけて、早めに治療を始めて、血糖が高くなるのを早めに食い止めることが必要です。

 

自覚症状がなくても検査を受けましょう。とくに40歳以上で、以下の条件が一つでも当てはまる人は、糖尿病になりやすい(糖尿病のリスクがある)条件を持っていると考えて、積極的に検査を受けましょう。

 

 

▼糖尿病(2型インスリン非依存型糖尿病)のリスクをもった人

・血縁者に糖尿病が多い

・生まれたときに低体重だった

・肥満、特に最近太ってきた

・お腹が出ている(体重はそれほど重くなくても)

・肉体労働を急にやめた

・ストレスが多い職業

・子供をたくさん産んだ人

・巨大児(4千グラム以上)を産んだ人

 

糖尿病であるかどうかを知るための検査は大まかにいって3段階あります。

 

 

▼1つ目

 

会社・職場での検診、地域での住民検診などでおこなうもので、尿糖などをごく簡単にふるい分けするものです。しかしながら、この方法は軽い早期の糖尿病を見逃しやすいという欠点があります。この方法で糖尿病の発見率を上げるには、食事前に一度尿を出してから食後2時間目の尿を調べることです。

 

 

▼2つ目

 

上記と同じような検診や人間ドックでは、血糖とグリコヘモグロビンAlcを調べることが増えてきました。この方法では、軽い、早期の糖尿病の大部分が見つかります。

 

 

▼3つ目

 

ごく軽い糖尿病は、早期空腹時の一回だけの採血で血糖とグリコヘモグロビンAlcを調べるだけでは、はっきりと検診できないこともあります。疑わしい場合の確定診断には「ブドウ糖負荷試験」といって、決まった量のブドウ糖を飲み、時間をおいて血糖値を調べる検査を受けます。

 

これではっきり糖尿病なのか、正常なのか、その境界なのかといった検査のパターンが出ます。医師はそれを参考にし、また患者さんがもっている様々な糖尿病の症状、素因を総合しながら、最終的に糖尿病なのかどうかの判断をします。

 

糖尿病になりやすい条件を持っている人は、これらのうち2番目か3番目の検査を受けるようにした方が良いでしょう

高血糖を招きやすい大きな要因は「食べ過ぎ」です。食べ過ぎを回避するために、食事の量を減らす人もいますが、それはかえって逆効果。空腹の時間が長いと、早食いにもつながり、下がっていた血糖値の急上昇を招いてしまいます。食べ方で大切なのは、食事のリズムをきちんと守り、血糖値をゆるやかに上げること。 1回に食べる量を減らして、食事の間につなぎとして野菜などを工夫して胃に入れてあげましょう。

 

●食習慣のひと工夫のポイント

・よくかむ

・バランス良く

・食事の合間に食物繊維を

・深夜の食事は軽く

 

▼積極的に摂りたい食物繊維

食後に高血糖になるのは、血糖値を下げるインスリンの効きが悪かったり、分泌が不足していることが原因です。しかし近年、食後に高くなった血糖値をコントロールするために、インスリンの分泌を促す「GLP-1」という消化管ホルモンが腸管から分泌されていることが分かりました。 この消化管ホルモンには食欲抑制作用もあり、体内で働く時間は短いのですが、食べ物が入る回数が増えれば、そのぶん分泌回数も多くなるので、好影響が期待されます。また、食物繊維をたくさん摂っているほど、この消化管ホルモン分泌がさかんになることも分かってきています。 食事の合間に、食物繊維が豊富な野菜を摂ることは、この消化管ホルモンの分泌促進にもつながります。時間がない時などは、食物繊維を手軽に摂れる青汁を活用するのも一つの方法でしょう。

糖尿病の症状は普段の生活の中では中々自覚しにくい症状のため、初期症状から気が付けば末期症状となり合併症によって糖尿病だったことに気が付くケースもあります。

 

糖尿病の初期症状

・喉がよく渇く

・水や清涼飲料水をよく飲む

・尿の量が多くなった

・食事を減らしてないのに体重減少する

・体がだるく疲れやすい


初期症状の怖いところは、痛みがないためわかりにくく、一時的な健康変化だと思い込んでしまい糖尿病に気付かないことです。少しでも上記の症状を感じたら、早めに医師の相談した方が良いでしょう。

 

 

糖尿病の末期症状

・目が見えにくくなる、目がかすむ、視力が落ちたなど

・できものができやすくなったり、傷が膿みやすいまたは治りにくい

・皮膚がかゆい

・陰部がかゆい

・歯がぐらぐらする

・口臭がする

・急激に体重が減少する

・抵抗力がなくなり病気になりやすくなる

 

最初に触れましたが、糖尿病で怖い点は何より合併症です。糖尿病が進行していくと、たんぱく質の糖化が進み、それぞれのたんぱく質本来の機能を果たさなくなり合併症につながっていきます。 糖尿病の症状が進行してしまうと、合併症により失明やかん腎不全、傷口からの細菌による感染を起こし壊疽(細胞が死ぬこと)になり、最終的には下肢の切断が必要になることもあります。

 

糖尿病の3大合併症と言われるのは以下の3つです。

 

 

・糖尿病性網膜症

最悪の場合、失明することもあります。

 

・糖尿病性腎症

腎機能低下。症状が進むと腎不全もなり人工透析が必要になることもあります。

 

・糖尿病性神経障害  

手 足のしびれや痛み、立ちくらみなど

 

普段の生活が偏食であったり食生活のリズムが滅茶苦茶、運動不足の方で初期症状に思い当たる節がある場合は早期に診断してもらうのが良いでしょう。糖尿病は、症状が悪化する前に適切な治療をすることが合併症を防ぐ手段です。食生活の改善や運動を心がけるなど、日頃のセルフケアを心がけるようにしましょう。

糖尿病の予防については血糖値を上げないポイントでも触れていますが、「食べ過ぎ」に気を付けることです。また糖尿病は糖分の摂り過ぎで発病すると思われがちですが、以外にも糖分以外の日常の食事に原因があります。糖尿病を予防するためには、「食事」と「運動」が大事になってきますが、聞けば当たり前のようなことですので、日々の食事、運動に気を付けましょう。

 

○野菜はたっぷりとろう

野菜に含まれる食物繊維は、肥満を防ぐ働きをします。健康日本21では、国民の健康づくりのために野菜を1日に350g(写真参照)以上とり、このうち緑黄色野菜を120g以上とることを目標としています。

 

○食事は決まった時間に、時間をかけて食べよう

朝食を抜いたり、食事時間が不規則だったり、寝る前3時間の間に食べるのはよくありません。ゆっくりよくかんで、一家団らん、会話を楽しみながら、時間をかけて食べましょう。

 

○甘いものや脂っぽいものは食べ過ぎない

甘いものや脂っぽいものは太りやすい食品です。食べ過ぎに気をつけましょう。

 

○ひとり分ずつ、取り分けて食べよう

大勢で大皿から食べると、どのくらい食べたかわかりづらいため、たくさん食べてしまいがちです。

 

○薄味にしよう

濃い味のおかずはごはんをたくさん食べてしまいがちです。素材の味をいかした薄味料理を。

 

○ながら食いはやめよう

テレビを見ながら、新聞を読みながらといったながら食いも、食べた量がわかりづらいもの。またよく味わえないため、満足感もありません。

 

○多いときは残そう

多いと感じたら、無理せずに残しましょう。

 

○お茶碗は小ぶりのものを

お茶碗を小さくすると、1膳の量が少なくなるため、食べ過ぎを防げます。

 

○調味料はかけずにつける

マヨネーズやドレッシングは、油が多く、太りやすい食品。お醤油などの塩分は、高血圧の原因になり、糖尿病を悪化させます。直接料理にかけず、小皿にとってつけましょう。

 

○食品のエネルギーを知ろう

毎日食べるものがどのくらいのエネルギーなのかを知り、食品を選ぶときや食べるときの参考にしましょう。

 

(出所:厚生労働省「糖尿病の予防法は?」)

▼糖尿病網膜症

目の網膜の細い血管が、高血糖により詰まったり、破れて出血をして、目に障害が現れる。最悪の場合は失明する。糖尿病になって10年くらいたつと半数以上の人に網膜症がおこる。

 

▼糖尿病腎症

血液中の老廃物を濾過し、尿として排泄するはたらきをしている腎臓の細い血管(糸球体)に、高血糖により障害がおこって、腎臓の働きが低下する病気。糖尿病患者の死因の約15%になる。

 

▼糖尿病性神経障害

高血糖により神経の伝達作用に障害がおこり、足のしびれや知覚が低下する末梢神経障害や、内蔵の働きを調節する自律神経の障害がおこる

糖尿病は現在では発症原因によって分類されていて、大きくは1型糖尿病、2型糖尿病、特定の原因によるその他の糖尿病、そして妊娠糖尿病の4つに分けられます。

 

1、1型(インスリン依存型)糖尿病

インスリンを分泌する膵臓のランゲルハンス島のベータ細胞が破壊される結果おこる糖尿病です。原因は特定されていませんが、ウイルスの感染が引き金になることがあり、多くの場合症状は突然現れ、急速に悪化します。

例えば、おたふくかぜや風疹などを引き起こすウイルスが体に入り込むと、免疫機能がウイルスを撃退しにかかりますが、そのとき自分自身の組織に対しては働かないはずの免疫システムに異常がおこり(自己免疫と呼びます)、膵臓のベータ細胞を破壊してしまうのではないかと考えられています。

1型糖尿病でインスリンが枯渇してしまった場合には、生命を維持するためにはどうしてもインスリンを対外から毎日補給しなければなりません。このようにインスリン注射が絶対に必要なであることから、インスリン依存型糖尿病とも呼ばれていました。

1型糖尿病は、子供から青年期にかけて発症することの多い病気ですが、中年以降でもかかる可能性はあります。

 

 

2、2型(インスリン非依存型)糖尿病

日本人の場合、成人になってから発症する糖尿病のほとんどはこのタイプです。治療に必ずしもインスリン注射が必要でないことから、これまではインスリン非依存型糖尿病と呼ばれていました。最近では、子供や若い人にも増加しているのが問題となっています。

原因として、インスリンの分泌量が不測しているか、分泌されるタイミングが遅れる、あるいは量は十分でも効き方が弱くなるインスリン抵抗性があることがあげられます。

インスリンは、筋肉や脂肪組織などの細胞に血液中のブドウ糖を取り込ませる働きをしていますが、この部分での仕事がうまくいかない状態に、食べ過ぎや運動不足、肥満、ストレスなどの因子が加わると発病すると考えられています。

2型(インスリン非依存型)糖尿病の場合は、おもに食事療法と運動療法で血糖値の正常化を目指し、病状の進行具合によって経口血糖降下薬やインスリン注射などの薬物療法をプラスしていきます。

 

 

3、特定の原因によるその他の糖尿病

そのほか、遺伝素因として遺伝子異常が認められたものと、他の疾患にともなう二次性の糖尿病は、まとめて「特定の原因によるその他の型の糖尿病」に分類されます。

 

《1》遺伝素因として遺伝子異常が認められた糖尿病

・ベータ細胞異常に関わる遺伝子異常

・インスリン受容体異常などインスリンの作用紀行に関わる遺伝子異常

 

《2》他の疾患・病態にともなうさまざまな糖尿病(二次性糖尿病)

・膵臓病(膵炎、膵臓がんなど)

・内分泌疾患(末端肥大症、バセドウ病など)

・肝臓病

・薬物や化学物質によるもの(副腎皮質ホルモン、インターフェロンなど)

・感染症(先天性風疹症候群など)

・まれな免責学的異常

・遺伝的症候群(ダウン症候群など)

このなかで多い原因は薬剤の使用によるもので、特にステロイド剤は有名です。

 

 

4、妊娠糖尿病

妊娠中は、インスリンの作用を弱める働きをするホルモンが胎盤から多く分泌されます。そのため、耐糖能に異常をきたしやすくなります。

ブドウ糖負荷試験を行い、軽い耐糖響を与える可能性が高く、注意が必要です。

ただし、妊娠糖尿病の多くは一時的なもので、出産後は正常化しますが、数年後には本格的な糖尿病になるケースもあります。

糖尿病はかぜや怪我などと違って一生治らない病気です。一度発病すると一生糖尿病と付き合うことになります。

また、糖尿病は自覚症状がないからといって放置しておくととても危険です。

糖尿病を治療せずに放っておくと、高血糖の状態が体のあちこちを蝕んでさまざまな合併症を引き起こし、失明や腎不全、足の壊疽などをおこしたり、まれに糖尿病性昏睡に陥って死にいたることさえあります。

糖尿病は完全に治らない病気ですが、石の治療をきちんを受けて、指示に従って血糖をうまくコントロールしていけば、健康な人と同じような生活を送ることができます。このようなことからも自覚症状の出ないうちに、自覚症状があったときはただちに専門医の診察を受け、適切な治療をつづけることが大切です。

一番恐ろしいのは合併症ですが、治療を受けることで合併症は防げますし、糖尿病治療のための食事療法や運動療法は、他の生活習慣病の発生を防ぐのにも役立ちます。

そのためには、本人が糖尿病とはどんな病気なのか、そして合併症の恐ろしさはどこにあるのかをよく理解し、「糖尿病は放っておくと危険な病気」だと自覚しましょう。